家族ががんになったらどう関わればいい?

回答いただく専門家は、一般社団法人がんチャレンジャーの代表理事の花木 裕介氏です。

がん罹患者との適切なコミュニケーションのとり方について専門家が回答

30代 会社員 男性からの質問
「母親ががんに罹ってしまいましたが、本人はまだ助かる可能性が高いから大丈夫だ!と明るく装っていますが、家族としてはどんな関わり方をして励ましてあげたら良いでしょうか?」

私も実は産業カウンセラーとして活動しているものの、一方で「がんサバイバー」としてがんを経験した身で、その立場からご相談にお答えしていきたいと思うのですが、まず個人差はあるかと思います。やはり「このコミュニケーションをとると良いよ。どんな方にも合うよ」という特効薬のようなものはなかなか無いのかなと思います。同じコミュニケーションをしていても、この方には嬉しいけれどもこの方にはちょっとそれは辛いという事も時にはあるかもしれません。

ですから今回は最大公約数的に、例えばですけど「ありがとう」と言われて不快な思いをする方は少ないと思いますが、「ありがとう」「感謝をしています」など、最大公約数的にどなたが受けても一定の効果があるような、そんなコミュニケーションのヒントをご紹介出来ればと思っています。

まずはこういった相談者の方のような、母親・家族・友人が病気になってしまったといった場合に心得ていただきたいなと思うのが、まず「本人の気持ちを第一に考えて欲しい」という事です。

例えば私には妻がいますけれども、妻が病気になってしまったという時に、どうしても私は妻が大事ですから、その妻がいなくなったら困るという事で、私がバタバタしてしまうような、そんな事を想像するわけですけれども、そうではなくてまず妻自身が今後どういう人生を送りたいのか、妻自身が今どういう気持ちでいるのか、何に困っているのか。そういった事を最初に聞いてあげるとか、「今の思いを良かったら聞かせてくれないか」という事で話をしにいく。そういう事が大事なんじゃないかなと思います。それを踏まえて自分がどう行動すべきかを考えていく事が大事なんじゃないかなと思っています。

そして接し方ですけれども、これもやっぱり聞く方があんまり不安がってしまったり、逆に高圧的に「俺がいるから大丈夫だ」みたいな、そういった気持ちがあると受け手としては「自分の気持ちよりもやっぱりそちらに合わせなければいけないな」という風に思われかねませんので、やはり出来るだけ普段通りに、まずは相手の気持ちに寄り添っていくという姿勢を見せていく。そういう事が大事なんじゃないかなと思います。

あとはやっぱり私自身も感じた事なのですけれども、接し方もそうなのですが、特に家族の場合は、例えばお母様であるという事ならばお母様が主婦である可能性もありますよね。家事や仕事など普段やっていた事が出来なくなる可能性もあります。ご主人であったら仕事・家事・育児とかですね。そういった普段出来ていた事が出来なくなる可能性が十分考えられるんですけれども、そういった場合に「大変だから無理しなくて良いよ!休んでなさい」とか…そういったメッセージが意外と有り難いようで、本人は苦しかったりします。私も経験ありますけれども、何もしなくて良いよといってもやはり出来る時もありますし、辛い時は辛いと言いますけれどもやっぱり出来る時もあるし、逆に何もしなければしないだけでどんどん体も弱っていきますし、「自分が頼りない存在なんじゃないか」とか「お荷物なんじゃないか」という風に思う事もしばしば実際ありました。出来ればあまり過保護にはせずに、本人が「これはやるよ」「今日は頑張れるよ」という事であれば、それはもう「じゃあお願いね。ただ何かあったら声掛けてね。無理はし過ぎないでね」と、そんな声を掛けて本人の自主性に任せるのが良いのではないかなと思います。

どうしてもやっぱり責任感のあるお母様やご家族の方ですとついついやり過ぎてしまう事があるかもしれない。そこはやり過ぎているようだったら「大丈夫?」と声を掛けてちょっとセーブするような促しであったり、そういった事は必要かもしれませんけれども「何もしちゃいけない」「何もしなくて良い」「寝てなさい」なんて言われてしまうと逆にストレスがかかってしまう事があるので、そこは避けた方が良いんじゃないかなと経験上は感じています。

そしてあと一つ。普段からお家の皆さんもおっしゃっているかもしれませんが、例えばお母様に対して「何か出来る事があったらいつでも声を掛けてね」という事をちょっとこまめにお伝えする。なんて事がもしかしたらお母様にとっては言ってくれる気持ちが嬉しいのかもしれません。

先日知人もおっしゃっていましたけれども、やっぱりいつも頑張っているお母さんですから、そういった意味ではお母さんに対して自分達が少し出来る事から支援をしようという気持ちが芽生えた話を聞きました。普段はいろいろ家事や仕事などに負担を掛けすぎているなぁという印象をお持ちなようでしたら、少し声を掛けてあげるだけでもお母様にとってはその気持ちが非常に嬉しいんじゃないかなと思います。また何かあればちょっとずつ負担を周辺の家族が抱えてあげる、荷物を背負ってあげる。そういった事が出来ると家族の絆もより深まってくるのではないかなと思いますので、是非参考にしていただければと思います。私からの回答は以上になります。ありがとうございました。

Q.最後にユーザーに向けて自己PRがあればお願いします。

がん罹患者に関わる方専門の産業カウンセラーとして活動している花木裕介です。これからがん罹患者に関わる方はもちろんですが、ご自身ががんにかかってしまった方、周りの方とどういう風にコミュニケーションをしたらいいのかわからないなど、その他お悩みを抱えている方は、私自身もがんサバイバーという経験がありますので、ぜひお気軽にお問合せ・ご相談をいただければと思います。皆さんのお声掛けをお待ちしています。よろしくお願いします。

専門家のプロフィール
専門家の記事一覧
「​自身のがん罹患経験を、一人でも多くの方にお役立ていただければと思っています。」
職種 健康
社名 一般社団法人がんチャレンジャー
役職 代表理事
名前 花木 裕介
サイト https://www.gan-challenger.org/