アダルトチルドレンとは~自分らしく生きる方法

アダルトチルドレンとは
回答いただく専門家は、元スクールカウンセラー、児童養護施設のカウンセラーの藤井 ひなた氏です。

アダルトチルドレンとは

アダルトチルドレンについて

アダルトチルドレンとは、子どものころの家庭環境が、虐待や不適切な育児などのために、非常に過酷であり、そのため、大人になってからも、そのトラウマによって否定的な自己像を持ってしまい、生きづらさを抱えている人のことをいいます。

アダルトチルドレンの問題点

アダルトチルドレンの人は、他人を信用したくても信用しきれない、という特徴があります。その半面で、他人と親密な関係を持つことを強く望んでいます。
一見、アンバランスなように見えますが、人間関係のバランスのとり方が分からないためであると考えられます。

その一方で、恋人には献身的に尽くしたりします。その裏には、「見捨てられ不安」というものがあると考えられます。
子どものころ、愛情に飢えてきたアダルトチルドレンの人にとって、見捨てられるということは、愛情を注いでもらえないということと直結します。
大人になっても、愛情飢餓の状態が続いているため、見捨てられないように、自分を犠牲にしてまで恋人に尽くしてしまうのです。

1.否定的な自己像

アダルトチルドレンの人は、自己肯定感がとても低いです。そのため、自分自身のことを大切にできません。

2.自殺

こうした否定的な自己像のため、生きていくことに希望を持てず、苦しみばかりを感じてしまいます。そうなると、死ぬことが苦しみから解放される唯一の方法のように思えてしまうのです。そうしたときに衝動的に自殺に至ってしまうことも多いようです。

3.世代間での連鎖

自分が母親から愛されなかった、と感じていたら、実は母親もその母親(祖母)から愛されていなかったと感じていたケースが多くあります。

4.生きづらさ

極端な人間関係、否定的な自己像、自殺、世代間での連鎖を見ても、生きていくことに希望を見出すことができず、生きづらさを抱えながら生きています。

アダルトチルドレンが回復する4ステップ

ステップ1 過去を探るグリーフワーク

グリーフワークとは、「悲しみから精神的に立ち直っていく道程」という意味があります。
グリーフワークは、子供時代の虐待や愛情を与えてもらえなかった事などを思い出し、ノートに書いたり声に出したりして嘆く作業の事です。
アダルトチルドレンは過去を見ようとせず、偏った思考や行動をしてしまう傾向があります。

それは過去を回避しようとする無意識の行為ですが、失ったもの、足りなかったものをきちんと受け止めて、泣きたいなら素直に泣く、怒りたいなら正当に怒るという作業が必要なのです。

グリーフワークで思い出す出来事は、全て過去に済んでしまった出来事で、今のあなたの命や人生を脅かすことは決してありません。
思いっきり泣き叫んだり、怒りを発することで、過去を整理する気持ちで取り組んで下さい。

ステップ2 過去と現在をつなげるナラティブセラピー

ナラティブセラピーとは、
1「問題が問題」なのであって、「私が問題」なのではない。
2 私の人生の専門家は私自身。
3 私には生きていく力がある。
という3本の柱の考え方に基づいています。
問題に支配された物語(ナラティブ)を、自分が主人公の物語に書き変えることで、問題と自分自身を分けます。
そして、問題に対処できる自分を見つけていくのです。

ステップ3 自分の信念を変える認知行動療法

アダルトチルドレンの特徴として、「白黒はっきりつけたがる思考方法」を持っている方が多いです。例えば、「子どものころ、親に冷たくされたのは自分が悪い子だったからだ」と信じているとします。

しかし、実際は、親が子どもに愛情を持てなかったせいかもしれません。他の可能性もあるのです。一度「こうなんだ」と受け取った事実の認識を再構築してみる必要があります。

子どものころ冷たくされたのは、自分のせいではないのかもしれない・・・。という具合にです。そうすることで、考え方も自己否定的ではなくなります。

ステップ4 これから生きていく新しいスキルを身に付けるアサーティブ

アサーティブとは、「自分の意見を適切な表現で相手に伝える」という意味です。アダルトチルドレンの人たちは、「自分が悪い」という考えが根底にあるため、自己主張や自分の意見を伝えるのが非常に苦手です。

「自分さえ我慢すれば、丸く収まる」と考え、自分の希望を言わないのです。
自己主張を上手にする方法を学べば、自分の意見を主張することができ、より生きやすくなります。

大切なのは「過去」ではなく、「現在」と「未来」

「現在」からできることを考えよう

過去にさかのぼることも大事ですが、私は「今とこれから」のほうが大事じゃないかなと思っています。
原因を探すことで、確かに自分の性格や感情の傾向は掴めるかもしれません。
でも、大切なのは、今の自分をどう受け入れ、折り合いをつけていくかですよね。

アダルトチルドレンの人には、自分の感情に、まずは蓋をする傾向があると思います。こんなこと考えちゃいけない、こんな風に感じるのはおかしい…という具合に。逆に、本当はこうしたい、私はこれが好き、というポジティブな感情にも蓋をしてしまいがちです。

感情は、コントロールしなくて良いのです。
自分の中で感じるだけなら、何を思い、何を考えても自由なんです。
この人イライラする!仕事なんて面倒くさい!もう仕事なんて辞めてしまいたい!…でも何でも考えるのは自由です。

まずは、自分の中に自然と湧き上がってくる感情に蓋をしないで、湧き上がってくるままに感じてみてください。
そして、それを、良い感情とか悪い感情とか決めつけずに、
「あぁ、自分は、こんな風に考えていたんだ」と、感じてみる。
びっくりすることもあるかもしれませんが、感情だけなら何も起こらないので大丈夫ですよ。

コントロールしないといけないのは、「行動」のほうです。
人にイライラしてしまうなら、物理的に距離を取るとか、意図的に良いところ探しをするとか、何か策はあると思います。

自分の心を解放するのに、どうしても過去の精算が必要で、一人ではその負担が大きい…と感じるなら、カウンセリングに通ってみるのも良いと思います。
自分の思いを安心して吐き出せる安全な場・人は、確かに重要だと思います。

アダルトチルドレンの回復

1.良い自己像を育てる

アダルトチルドレンの人は、自己肯定感が極端に低い人が多いです。そのため、いつも他人の顔色をうかがい、他人に自分の意見を主張できません。
相手が不機嫌であると、自分とは関係のないことで機嫌が悪かったにもかかわらず、「自分のせいではないか」と勝手に思い込んで、自己嫌悪に陥ります。
人からなにか頼まれると、「断ると嫌われるのではないか」と考えすぎてしまい、理不尽な頼み事であったとしても、断ることが苦手です。

このような傾向を改善するには、成功体験を重ねることです。自分自身にも良いところがあることを認めることから始めます。そして、自分も他人からも必要とされている存在なんだという気づきを何度も重ねることによって、自分も価値がある人間なんだと思えるようになります。

2.適切な人間関係を生きる

アダルトチルドレンの人は、他人に依存するような人間関係を取ってしまうことがよくあります。これが、異性の場合だと恋愛依存というように言われます。異性から暴力を受けたとしても、その人から離れられない、過剰に異性に依存しすぎてしまい、その人がいないと生きていけない状態に陥ってしまうケースがあります。

こうしたことも、適度な距離感をもって人間関係を構築できることが大切です。「近すぎず・遠すぎず」という人間関係を気づけるようになることが理想的でしょう。

3.親との決別

アダルトチルドレンの方は、大人になっても、親から強い影響力を受けながら生活している人も多くいます。

アダルトチルドレンの人は、他人と自分との境界線が薄い人が多いです。
例えば、テレビのドラマなどで主人公が恋人に振られてしまうシーンがあったとします。それを観たアダルトチルドレンの人は、ドラマの出来事であるにもかかわらず、まるで自分が主人公で恋人に振られたかのように、とても心に傷を負います。
自分でも、ドラマのなかの出来事だということは、分かっているのですが、主人公と自分を置き換えて、まるで自分が体験しているかのような錯覚を覚えるのです。

これは、自分とドラマの主人公との境界線が薄いためといえます。
親との関係にも同じことがあてはまります。
親と自分を重ね合わせてみてしまうことによって、親の人生と自分の人生を混同して見てしまうのです。
「親と自分は全く別の人間である。自分の人生は自分のものだ。親とは関係がない」と、強く意識する必要があるでしょう。

まとめ

自分をアダルトチルドレンであると認めることは、これまで生きにくかった人生を、生きやすくするためのスタートラインに立てたと考えてよいでしょう。
自分がアダルトチルドレンであると認めて、そこから自分の人生を生きやすくするためには、歪んだ認知を修正するなど、様々な心のトレーニングが必要になります。その道のりは、平たんではなく、時に苦しい課題に直面させられることもあるでしょう。

しかし、今まで、育った環境のせいで苦しんできたけれども、自分の人生を、自分の手に取り戻して、自分で生きやすい人生を、これから作っていくことができるのです。苦しい局面があったら、作業のテンポをゆっくりにしながら、少しずつ、焦らずに進みましょう。

あなたの人生はあなたのものです。他の誰のものでもありません。
アダルトチルドレンから抜け出せたとき、あなたは自分の人生を手に入れることができるのです。そして、あなた自身が生きたいように生きていくことができることを切に願います。